地域おたからワークショップを開催しました!その1


8月18日と19日に、旧松本村地区と明木地区で、地域のおたからを再発見することを目的に、地域おたからワークショップを開催しました。

萩まちじゅう博物館では、平成25年度から3ヵ年の計画で、地域のおたから(文化遺産)情報をデータベース化し、それらの情報を活用していくことを目的とした「萩まちじゅう博物館文化遺産活用事業」をスタートさせました。

この事業の第1弾として実施したのが、「地域おたからワークショップ」です。

このワークショップは、平成25年度に具体的な取組を行う旧松本村地区、浜崎地区、旭地域、むつみ地域の皆さんを対象に、 萩まちじゅう博物館のしくみの提唱者である西山徳明教授(北海道大学観光学高等研究センター長)を迎え、 対象地域を舞台に、西山教授のガイダンスを聞き、参加者が実際に地域を歩き、おたからカルテを作成することで、まちじゅう博物館の視点や「何のために、どうやって、地域のおたからを守り育ていかしていくか」といったことを改めて考える機会とするために行いました。



まずは18日の様子をレポートします。

8月18日(日) @松陰記念館 (松陰神社内) 

対象地域:旧松本村地区・浜崎地区

参加者:30名

  • 旧松本村地区 維新の里づくり協議会の皆さん
  • 浜崎地区 浜崎しっちょる会の皆さん
  • 萩まちじゅう博物館推進委員会地区部会委員
  •  NPO萩まちじゅう博物館会員

(1)入門講座「萩まちじゅう博物館 おたから再発見」

西山教授が携わってきた萩市や太宰府市、海外での事例を中心に、地域のおたからの再発見がなぜ重要なのか、どうやって地域のおたからを守り育て生かしていくか、などについて話していただきました。
※講義内容は後日、このブログにアップします。

(2)松陰神社境内でのおたから調査

3つの班に分かれ、西山教授の指導の下、班の中で班長やおたからメモ記録係、地図記録係、写真記録係といった役割分担をし、松陰神社境内でおたからの拾い上げと記録を行いました。

(3)おたから情報の整理

会場に戻り、現地で拾い上げたおたから情報の整理を行いました。大判の地図に、おたからの位置や名前を記録したり、おたからカルテ用紙に情報を記録したりしました。

この日集まっていただいた方々の中には、それぞれの地域では「先生」とよばれるほど地域のおたからには詳しい方々もちらほら…
そんな方々に半強制的に役割を振って、班別に分かれて行動していただくのは恐れ多かったのですが、

初めはぎこちなかった参加者のみなさんも、一緒に境内を歩いて「おたから探し」をする中で会話も増え、おたから情報を整理するときには、みなさん身を乗り出して、真剣にそして楽しそうに意見を交わしたり、相談したりする様子に、地域のおたからをみんなで協力して探してまとめる、ということの大切さを改めて感じることができました。

(4)発表・講評


最後に班ごとに見つけたおたからを発表していただきました。今回は時間も限られていたため、途中段階での発表となってしまいましたが、「ふだんあまり注目されない狛犬が実は松下村塾の塾生であった渡辺蒿蔵の奉献したものだということを再発見した」「かつてここに道があったこともおたからだと思って記録した」、などなど、それぞれに気づきや再発見があったようです。

西山教授からの講評では、「議論を戦わせて地図に落としていく、その繰り返しが大事。」、「意見が分かれた場合には両論併記して、情報を捨てずに記録し、判断は後世に委ねること。」、「人に説明する時には短く・わかりやすくすることも大事だが、それを裏で支えるデータには惜しみなく情報を記録すること。」、「誰から聞いた、何の本に載っていた、という情報源を忘れずに書くことが大事。そうすればそれがたとえ歴史的真実ではないとしても“正しい情報”になる。」など、これからの調査で大切なポイントを教えていただきました。

今回のワークショップは、時間も場所も限られた形でのおたから探し・記録となってしまいましたが、それでも今後各地でおたから調査を進めていく第1歩として、その考え方を学ぶ貴重な機会となったと思います。

暑い中ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!